飲食店の物件選び

街中じゃなくてもうまくいく立地の選び方

この記事でわかること: 飲食店の物件選びで「立地が全て」と言われるけど、本当にそうなのか。街中・駅前にこだわらなくてもうまくいく立地の条件と、物件選びで見るべきポイントをお伝えします。


「立地が全て」は本当か

飲食店の開業を考えると、「立地が大事」という話を必ず耳にします。確かに間違いではない。でも、「いい立地=街中・駅前」という思い込みは危険だと思っています。

街中や駅前の物件は、確かに人通りが多い。でも家賃も高い。前の記事でお伝えしたとおり、家賃が売上の10%を超えると経営が苦しくなる。人通りがあっても、家賃の重さに潰されてしまったら意味がありません。

「いい立地」とは、人通りが多い場所ではなく、自分の店のお客さんが来てくれる場所のことです。


郊外・住宅街でもうまくいく3つの条件

一つ付け加えると、あり得ないような場所——住宅街の奥や、ポツンと一軒家のような立地でも、強い店になることがあります。

最初は本当に大変です。誰も来ない時期が続く。でも、そういう店こそ口コミで広がっていく。「あそこまでわざわざ行く価値がある」と思ってもらえたとき、その店は本物になります。場所が不便なほど、来てくれるお客さんの熱量が高い。

立地が悪いことを言い訳にせず、それを逆手に取れるかどうか——これも経営者の力量だと思っています。

① 地元の人が集まる飲み屋街の近く

大きな繁華街でなくても、地元の人が集まる小さな飲み屋街の近くは狙い目です。

そういうエリアには「外食する習慣がある人」が自然と集まります。新規のお客さんを呼び込みやすく、常連さんになってもらいやすい。街中の家賃と比べてリーズナブルなことが多いのも魅力です。

② 駅近でもマンションが多いエリア

「駅近」でも、オフィス街と住宅街では客層がまったく違います。

マンションが多いエリアは、地元に根ざした固定客が育ちやすい。通勤客は「たまに来る人」になりがちですが、近隣住民は「何度も来てくれる人」になる可能性が高い。個人飲食店にとって、リピーターは命綱です。

③ ある程度お金持ちが住む地域

客単価は、場所で決まる部分が大きい。

これは私が実感していることです。富裕層が住むエリアは、外食にお金を使うことへの抵抗感が少ない。多少値が張っても、良いものを食べたいという意識が高い。

さらに、富裕層が住む街はそれ自体がブランドになっていることが多い。「〇〇にある店」というだけで、一定の信頼感や期待感を持ってもらえます。集客や口コミにもプラスに働きます。

逆に、価格競争が激しいエリアで個人店が安売りしても、チェーン店には絶対に勝てません。自分の店のコンセプトに合った客層が住むエリアを選ぶことが、長く続けるための大切な条件です。


居抜き物件の使い方

物件探しで必ず出てくる「居抜き物件」について。

居抜き物件とは、前のテナントの内装や設備がそのまま残っている物件のことです。

メリット:初期費用を大幅に抑えられる

内装や厨房設備がそのまま使えるため、1からすべて作るより費用が格段に安くなります。特に同じ飲食業態の居抜きなら、厨房機器もそのまま使えることがある。

デメリット:自分好みに変えにくい&権利金が発生することも

前のテナントの雰囲気がそのまま残るため、自分の店のイメージと合わない部分が出てくることがあります。大きなリノベーションをすると、居抜きのメリットが薄れてしまう。

また、居抜き物件によっては「権利金」を求められるケースがあります。設備や内装をそのまま使う対価として前のテナントや仲介業者に支払うものです。物件によって金額はまちまちですが、契約前に必ず確認してほしいポイントです。思わぬ費用が発生することがあります。

結論:イメージに合っていれば居抜きは最高の選択

内装のイメージが自分の店のコンセプトと合っているなら、居抜きを積極的に選ぶべきだと思います。費用を抑えた分を運転資金に回せるのは、開業初期の大きな安心感になります。


「いい立地」は競争も激しい

もう一つ、忘れてはいけないことがあります。

立地が良い場所は、競争も激しい。

人通りが多い街中・駅前には、当然ながら飲食店も多い。チェーン店も大手も集中する。個人店が同じ土俵で戦っても、資本力・宣伝力・ブランド力で勝てる要素が少ない。

家賃が高くて競争も激しい——これが「いい立地」の現実です。

郊外や住宅街は、一見不利に見えます。でも、競合が少ない分、一度根付いた常連さんは離れにくい。地域に愛される店になれれば、大手には絶対に真似できない強さが生まれます。

立地の良し悪しは、家賃・客層・競合の三つで考える。これが個人飲食店の物件選びの基本だと思っています。

家賃と売上のバランス

繰り返しになりますが、家賃は売上の10%以内が目安です。

月商100万円なら家賃10万円以内。月商50万円なら5万円以内。この逆算から物件を探す方が現実的です。「この物件いいな」から始めると、家賃に引っ張られて判断が狂います。

近隣の客層を見る

内見だけでなく、物件の周辺を歩いてみることが大事です。

そのとき特に見てほしいのが、自分の店と同じくらいの客単価、できれば同じような業態の店が流行っているかどうかです。

そういう店が繁盛しているなら、そのエリアに「お金を使ってくれるお客さんがいる」ということの証拠になります。逆に、同じような店が閑散としていたり、次々と閉店していたりするなら、そのエリアでは客層が合わない可能性が高い。

夜の時間帯に歩いてみる、近くの似た飲食店を実際に使ってみる。「この街の人たちが自分の店に来てくれるか」をイメージできるかどうかが、物件選びの最終判断になります。

搬入・搬出のしやすさ

見落としがちですが、食材の搬入や、ゴミの搬出のしやすさも重要です。毎日のことなので、不便な立地は想像以上に負担になります。


まとめ:「自分の店に合った立地」を選ぶ

物件選びに正解はありません。ただ、私が思う大切な考え方をまとめるとこうです。

  • 街中・駅前にこだわらなくていい
  • 家賃から逆算して物件を探す
  • 地元の飲み屋街、マンションが多いエリア、富裕層が住むエリアは狙い目
  • 居抜きはイメージが合えば積極的に活用
  • 周辺の客層を自分の目で確認する

「いい物件」とは、家賃と客層のバランスが自分の店のコンセプトに合っている物件のことです。

👉 次の記事:飲食店の原価率、実際何%で回してるか


「小さな店の経営帳」では、個人飲食店オーナーのリアルな経営ノウハウを発信しています。税務、価格設定、仕入れ、集客——現場の実体験から、教科書には載っていない知恵をお届けします。


筆者プロフィール

ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。

数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。

このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。

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