まず知ってもらうことから始まる
この記事でわかること: 個人飲食店を長く続けるために欠かせない「常連さん」。リピーターを増やす前に、まず「知ってもらう」ことが全ての出発点です。現役の個人飲食店オーナーが実践してきた考え方をお伝えします。
店を始めるときに言われた言葉
店を始めるとき、こんな言葉をもらいました。
「いかに儲けるかではなく、いかに喜ばれるか。」
最初はその意味が完全にはわかりませんでした。でも、長くやってきた今、これが全てだと感じています。
お客さんに喜ばれることを積み重ねた結果として、お店が続く。続くから利益が生まれる。喜ばれることが先で、儲けは後からついてくる——そういうことだったんだと思っています。
ただ、喜ばれる以前に、まず知ってもらわないことには何も始まりません。
リピーターを増やすとか、常連さんを作るとか、その話はずっと後の話です。最初にやるべきことは、自分の店の存在を知ってもらうこと。これが全ての出発点だと、開業してから痛感しました。
リピーターを「作る」のではなく「なってもらう」
最初に言っておきたいことがあります。
リピーターは「作る」ものではなく、「なってもらう」ものだと思っています。
テクニックでお客さんを引き止めようとするより、また来たいと思ってもらえる店であることの方がずっと大切です。その結果として、自然に常連さんが増えていく——それが長く続く個人飲食店の姿だと思っています。
最初にやったこと:ランチで味を知ってもらう
うちがリピーターを増やすために最初にやったことは、ランチで味を知ってもらうことでした。
しかも、全く知らない街でのスタートでした。知り合いもいない、地域のつながりもゼロの状態から始めたので、最初は本当に大変でした。誰も自分の店のことを知らない。当然、常連さんなんていない。
そこでまず取り組んだのが、気軽に入れるランチで「この店は美味しい」と知ってもらうことでした。夜の価格帯に来てもらう前に、まずランチで顔を覚えてもらう。そこで気に入ってもらえれば、夜にも来てくれるようになる。
知らない街でゼロから始める場合、まず「知ってもらう」ことが全ての出発点だと感じています。
「美味しい」は当たり前。その先にあるもの
飲食店として、美味しいものを出すのは当たり前のことです。それだけでリピーターになってもらえるほど、今の時代は甘くありません。
うちが意識してきたのは、気取らず、飾らない雰囲気です。
高級感を演出するより、「ここにいると落ち着く」と思ってもらえること。小さい子供連れでも気兼ねなく来られること。お客さんが「また来たい」と思う理由は、料理だけじゃないと感じています。
特に子供連れのお客さんが来やすい雰囲気というのは、長い目で見ると強みになります。子供が大きくなっても通い続けてくれる、そういう関係が生まれることがあります。
新規客がリピーターになるのは自然な流れ
「どうすれば新規のお客さんがリピーターになってくれるか」とよく聞かれます。
正直に言うと、上の全部ができていれば、自然になってくれます。
美味しいものを出す。気取らない雰囲気を作る。お客さんが来やすい場所でいる——これができていれば、わざわざリピーターを「獲得しよう」と頑張らなくても、気づけば常連さんになってくれています。
逆に言えば、リピーターが増えないとしたら、何かが足りていないサインかもしれません。
「また来ます」は本物かどうかわかる
お客さんが帰り際に「また来ます」と言ってくれることがあります。
でも、笑顔で言ってくれるのか、社交辞令で言っているのか——なんとなくわかります。本当にまた来てくれる人は、笑顔が違います。目が違います。
そういう瞬間は、こちらもうれしくなります。料理を作った甲斐があったと感じます。
「来てほしくない」という気持ちは伝わる
少し怖い話をします。
「この人、また来てほしくないな」と思ったお客さんは、不思議とあまり来なくなります。
こちらの気持ちが顔に出てしまっているのかもしれません。接し方が微妙に変わってしまうのかもしれない。理由はわかりませんが、気持ちはどこかで伝わるものだと感じています。
逆に言えば、来てほしいお客さんには、心からそう思って接することが大切です。その気持ちも、ちゃんと伝わっていると思っています。
常連さんとの関係で一番大切なこと
常連さんとの関係で、一番大切にしていることを聞かれたら、迷わずこう答えます。
嘘をつかないこと。
食材のことで聞かれたら正直に答える。調子が悪いものは正直に言う。「今日はこれがおすすめ」と言うなら、本当にそう思っているものだけ勧める。
長く通ってくれているお客さんは、嘘やごまかしに気づきます。一度失った信頼は、なかなか戻りません。
「正直に話せる関係」が、長く続く常連さんとの関係の土台だと思っています。
まとめ:リピーターは「結果」
- 美味しいものを出すのは当たり前。その先の雰囲気が大事
- 気取らず、飾らず、誰でも来やすい場所でいる
- 新規客がリピーターになるのは、全部できていれば自然な流れ
- 笑顔で「また来ます」と言う人は、本当に来てくれる
- 来てほしくないという気持ちは、どこかで伝わる
- 常連さんとの関係の土台は「嘘をつかないこと」
リピーターは「作る」ものではなく、誠実に続けた結果として「増えていく」ものだと思っています。
そして最後にもう一度、最初の言葉に戻ります。
「いかに儲けるかではなく、いかに喜ばれるか。」
この言葉通りに続けてきた結果が、今の常連さんとの関係だと思っています。
👉 次の記事:
「小さな店の経営帳」では、個人飲食店オーナーのリアルな経営ノウハウを発信しています。税務、価格設定、仕入れ、集客——現場の実体験から、教科書には載っていない知恵をお届けします。
筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。
数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。
このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。

コメント