この記事でわかること: 個人飲食店オーナーが、会計ソフトを使わず税理士事務所に任せてきた実体験。年商別の税理士費用の推移、自分でやっている作業、会計ソフトを使うべきタイミングまで、数字を包み隠さず公開します。
「会計ソフトを入れた方がいいのか、税理士に任せた方がいいのか」
個人で飲食店を始めた人なら、一度は悩む経理問題。
- 会計ソフトを入れるとして、freeeとマネーフォワードどっち?
- そもそも税理士に任せると月いくらかかる?
- 自分で全部やるのは無理だけど、どこまで任せればいい?
検索してもキレイな一般論ばかりで、「リアルな費用感」が出てこない。広告記事か、税理士事務所のPRページばかりで、実際のオーナーがいくら払ってるのかが全然わからないんですよね。
この記事では、私が実際に払ってきた税理士費用の推移を、年商の変化と一緒に全部公開します。個人店オーナーが「自分の今のステージだといくらくらいか」を判断できる材料になればと思います。
結論:年商別・税理士費用のリアル
まず結論から。私が実際に払ってきた金額の推移はこうです。
| フェーズ | 年商 | 月額顧問料 | 確定申告料 | 年間合計 |
|---|---|---|---|---|
| 創業期 | 1,000万円前後 | 10,000円 | 40,000円 | 16万円 |
| 成長期 | 1,200万円〜 | 16,500円 | 66,000円 | 26.4万円 |
| 安定期 | 1,500万円〜 | 22,000円 | 91,200円 | 35.5万円 |
※月額顧問料×12ヶ月+確定申告料で計算
ざっくり言うと、年商が500万円上がるごとに、年間の税理士費用が10万円ずつ上がってきた感覚です。
「こんなに上がるの?」と思うかもしれませんが、業務量も確実に増えていくので、妥当だと今は思っています。詳しくは後述します。
なぜ会計ソフトを入れなかったのか
個人店を始めたとき、正直に言うと「会計ソフトがよくわからなかった」のが一番の理由です。
パソコンに強いわけでもないし、毎日の仕込みと営業で頭がいっぱい。「覚える時間があるなら、仕込みを丁寧にしたい」というのが本音でした。
そこで選んだのが、「全部、税理士さんに任せる」という選択肢。これが結果的に、自分の店にとっては正解だったと感じています。
私が実際にやっている作業
税理士に任せているとはいえ、丸投げではありません。自分でやっている作業もあります。
毎日やっていること
- レシートを集めて、1箇所にまとめる
- その日の売上を家計簿形式でメモする
定期的にやっていること
- 年に数回、溜まったレシートと伝票を税理士事務所に送る
- 仕入先からの請求書を整理して送る
作業時間で言うと、1日あたり5〜10分程度。月末でまとめて1〜2時間くらい。これだけで、確定申告も月次の数字の把握もできています。
税理士事務所を途中で変えた話
実は、最初の税理士事務所から今の事務所に、途中で変更しています。
最初は、知人から紹介してもらったA事務所でスタート。月額10,000円、確定申告40,000円という料金で、最初の数年はお世話になりました。
ちなみにこの月額10,000円という金額、今振り返るとかなり恵まれていたと思います。
一般的には、年商1,000万円前後の個人飲食店だと、月額顧問料は15,000〜30,000円程度が相場と言われます。私の場合は、知人からの紹介という縁もあり、地元密着で個人のお客さんを大事にしてくれる事務所だったからこそ、この価格で受けてもらえたんだと思います。
なので、これから税理士を探す方は「1万円が標準」と思わず、地域・事務所の規模・紹介の有無によって料金は大きく変わるということを念頭に置いて、いくつかの事務所に見積もりを取ってみることをおすすめします。
ところが、そのA事務所が閉鎖することになり、移転先として紹介されたのが今のB事務所でした。月額16,500円、確定申告66,000円からのスタートです。
ちなみに、税理士事務所の「閉鎖」は珍しい話ではありません。
税理士さんも個人事業主、高齢になって引退されるケース、後継者がいないケース、規模を縮小して特定の顧客だけに絞るケースなど、様々な理由で事務所が変わることはあります。
だからこそ、「一人の税理士さんに一生任せる」というより、「自分の店の成長と一緒に、税理士との付き合い方も見直していく」という感覚を持っておく方が現実的だと感じています。
B事務所に移って良かったこと
- 節税の考え方や、税制の活用方法を教えてもらえる
- 予算の立て方や、スポット的な経費処理など、込み入った相談ができる
- 売上が伸びて処理が複雑になってきても、安心して任せられる
税理士は単なる「確定申告を代行してくれる人」ではなくて、節税の考え方や、予算の立て方を一緒に考えてくれる存在です。料金の違いは、相談できる範囲の違いでもあると実感しています。
売上が上がると、税理士費用はどう上がるか
B事務所に移ってからの料金改定は、大きく2段階ありました。
年商1,200万円を超えたタイミング
- 月額16,500円 → そのまま
- でも処理する伝票量が増えて、やり取りが密になっていった
年商1,500万円を超えたタイミング
- 月額16,500円 → 22,000円にアップ
- 確定申告料も66,000円 → 91,200円にアップ
これは税理士さんから「値上げします」と一方的に言われたわけではなく、売上が伸びていく中で、処理業務も複雑化してきたためという自然な流れでした。
正直なところ、私の感覚としては「また上がるのか」という気持ちより、「今までが安すぎたから当然だよね」という思いの方が強かったです。知人紹介で始めた頃の月額10,000円は、今考えればかなり特別な料金でしたし、業務量を考えれば、むしろ申し訳ないくらいの金額でした。
売上が伸びるということは、税理士さんの仕事も増えるということ。それに応じた適正な料金を払うのは、長く良い関係を続けるための当たり前の姿勢だと思っています。
年商が上がれば、仕訳の数も、管理すべき経費科目も、税金の金額も増える。税理士の業務量は確実に増えているので、料金が連動して上がるのは理にかなっています。
こんな人には会計ソフトがおすすめ
ここまで「税理士に任せる派」の話をしてきましたが、全員に税理士が最適というわけではありません。
会計ソフトを選ぶべき人
- 年商1,000万円未満で、売上規模が小さいうち
- パソコン・スマホ操作が苦にならない
- 月数万円の固定費を抑えたい
- 自分で数字を細かく見たい
年商500万円くらいの段階で月額2万円の税理士費用を払うと、それだけで利益を圧迫してしまいます。ある程度の規模になるまでは、freeeやマネーフォワードのようなクラウド会計ソフトで回す方が合理的だと思います。
2026年、AI時代の新しい選択肢
最近、個人的に感じているのが「AIと会計ソフトの組み合わせで、個人店でも自力で回せる時代が来ているかもしれない」ということです。
たとえばClaudeやChatGPTに聞けば:
- 「この経費は事業用として計上できる?」
- 「消費税の納税額ってどう計算する?」
- 「インボイス制度で何が変わった?」
こういった質問に、税理士に聞くより早く、しかも何度でも答えてくれます。freeeなどの会計ソフトと組み合わせれば、税務の基礎知識がなくても、個人店レベルの経理なら自力で回せる可能性があると感じています。
でも、自力でやる一番の怖さは「合っているかわからない」こと
ここが本音の話です。
AIも会計ソフトも、確かに優秀です。でも、自分で経理をやる人が一番怖いのは、「これで本当に合ってるのか、誰にも確認してもらえない」という不安だと思います。
- 経費の計上方法、これで合ってる?
- 税額計算、間違ってないだろうか
- 数年後に税務署から「それは違う」と言われたらどうしよう
AIは質問には答えてくれますが、「あなたの店の数字を見て、最終的にハンコを押す」ことはしてくれません。
税理士さんと契約する一番の価値は、この「最終チェックをしてくれる専門家がいる」という安心感にあると私は思っています。毎月の数字を見てもらえる、何かあれば相談できる、税務調査があっても立ち会ってもらえる——これは会計ソフト単体では得られない価値です。
結論:「自力でやる」の覚悟
自力でやる選択肢が現実的になってきたとはいえ、「合っているかどうかの最終確認を自分で引き受ける覚悟」が必要です。この覚悟と時間がある人は会計ソフト+AIで十分、それが不安な人や、事業が複雑になってきた人は税理士を選ぶ——これが今の時代の分かれ道だと思います。
AIは「瞬間の疑問を解決する」のは得意ですが、「あなたの店の状況に合わせた節税や、税制変更への対応を一緒に考えてくれる相談相手」にはまだなれていない。ここが、人間の税理士との付き合いが今も価値を持つ理由です。
まとめ:ステージ別・経理の選び方
自分の実体験から、ステージ別の選び方をまとめるとこうなります。
年商1,000万円未満
→ 会計ソフト(freeeやマネーフォワード)で自力でやる
→ 確定申告だけスポットで税理士に依頼するのもアリ
年商1,000万〜1,500万円
→ 税理士と顧問契約を結ぶ価値が出てくる
→ 月額15,000〜25,000円程度が相場
→ 紹介や縁があれば、これより安い事務所に出会える可能性も
年商1,500万円以上
→ 税理士との付き合いが不可欠
→ 副業や事業拡大の相談窓口としての価値も大きい
→ 月額20,000〜30,000円程度は覚悟する
最後に
個人飲食店の経理は、「正解は一つじゃない」というのが正直なところです。
大事なのは、自分のステージと性格に合った選び方をすること。パソコンが得意で時間がある人は会計ソフトで十分だし、私のように「経理は苦手だから任せたい」という人は、多少コストを払っても税理士と組む方が本業に集中できます。
この記事が、個人店オーナーの「経理どうしよう問題」の判断材料になれば嬉しいです。
筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。
派手さはなくても、小さな店が長く続くための実践的な経営の知恵を発信していきます。
【余談】会計ソフト、試してみてもいいかもって思ってる話
自分はずっと税理士任せでやってきたし、それは今も変わっていません。
ただ、もし今から始めるとしたらどうするかな、と考えることがあって。クラウド会計ソフトとAI(ClaudeやChatGPTなど)を組み合わせれば、仕訳でわからないことはその場で解決できる時代になってきています。経理の素人でも、なんとかなりそうだなと正直思っています。
税理士費用を抑えたい人は、一度触ってみる価値あると思います。

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