飲食店の値上げ、どう伝えるか

常連さんに納得してもらうための考え方

この記事でわかること: 物価高が続く今、多くの個人飲食店が値上げを迫られています。でも「値上げしたらお客さんが離れるのでは」と躊躇している人も多い。現役の個人飲食店オーナーとして、値上げとどう向き合ってきたかをお伝えします。


値上げは、いつも怖い

正直に言います。値上げは、今でも怖いです。

「気安く通えるお店でいたい」——それがずっと自分の理想でした。近所の人が気軽に立ち寄れて、財布を気にせず楽しめる場所。その理想と、価格を上げなければならない現実の間で、ずっと葛藤してきました。

でも、値上げしないことのリスクを考えると、答えは一つしかありません。

店が無くなる。家族が路頭に迷う。

それだけのことです。続けるために、適正な価格をいただく。これは経営者としての責任です。


うちがやってきた値上げの方法

① 大分前からお客さんに話しておく

値上げをする前から、口頭でお客さんに伝えていました。

「物価が上がっていて、少しずつ価格を見直していくことになりそうです」と、さりげなく、でも早めに話す。

突然「値上げしました」ではなく、「いつかそうなるかもしれない」という心の準備をしてもらうことが大切だと思っています。長く通ってくれているお客さんほど、こういう話を真剣に聞いてくれます。

② メニューごとに少しずつ上げていく

一度に全部上げるのではなく、メニューごとに少しずつ、時間をかけて上げていきました。

一気に全メニューを値上げすると、お客さんへの衝撃が大きい。でも、一品ずつ少しずつ上げていくと、変化が緩やかになります。

「気がついたら少し上がっていた」くらいのペースが、お客さんにとっても受け入れやすいと感じています。

③ 理由を正直に伝える

値上げの理由は、正直に伝えました。

「仕入れ値が上がっているので」「食材の価格が全体的に上がっていて」——難しい説明は必要ありません。正直に話すだけで十分です。

ドリンクの値上げをお伝えしたとき、お客さんの反応はとても肯定的でした。「そうだよね」「仕方ないよね」と言ってもらえて、正直ほっとしました。

値上げを怖がっていた自分がいましたが、日頃からコミュニケーションが取れている関係があれば、値上げの理由も伝わりやすい。 常連さんとの信頼関係が、値上げを受け入れてもらえる土台になっています。

「値上げしたらお客さんが離れる」と不安に思っている人に伝えたいのは、長く通ってくれているお客さんは、あなたの店の事情をちゃんとわかってくれるということです。


値上げしないことの本当のリスク

「値上げしたらお客さんが離れるかもしれない」という不安はよくわかります。

でも、値上げしないことにも大きなリスクがあります。

仕入れ値が上がっても価格を据え置けば、原価率がどんどん上がっていく。利益が出なくなる。店が続けられなくなる。

値上げしないことで守ろうとしているお客さんとの関係は、店が無くなれば終わります。

長く続けるために適正な価格をいただくこと——これはお客さんへの誠実さでもあると思っています。


値上げで離れるお客さんについて

値上げをすれば、来なくなるお客さんが出ることもあります。それは仕方がないことです。

でも、価格が上がっても来てくれるお客さんは、本当にその店を必要としてくれている人です。そういうお客さんとの関係を大切にした方が、長期的には店のためになると思っています。

価格だけで選ばれる店より、「ここに来たい」と思ってもらえる店を作ること——値上げを機に、そのことを改めて考えるきっかけにもなりました。


まとめ:値上げは「自分を安売りしない」ための行動

  • 値上げは怖い。でも、しないと店が続かない
  • 早めに、口頭で、正直に伝える
  • 一度に全部ではなく、少しずつメニューごとに
  • 日頃の信頼関係が、値上げを受け入れてもらえる土台になる
  • 値上げで離れるお客さんより、来てくれるお客さんを大切に

値上げは、自分を安売りしないための行動です。適正な価格でいいものを提供し続けること——それが長く続く個人飲食店の姿だと思っています。

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「小さな店の経営帳」では、個人飲食店オーナーのリアルな経営ノウハウを発信しています。税務、価格設定、仕入れ、集客——現場の実体験から、教科書には載っていない知恵をお届けします。


筆者プロフィール

ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。

数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。

このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。

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