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飲食店を開業するとき、ほぼ全員がぶつかるのが事業計画書です。特に、日本政策金融公庫(公庫)の創業融資を受けるなら、これがないと話が始まりません。
私は地方都市で家族経営の小さな店を10年以上やってきました。開業時、公庫から750万円を借りています。そして正直に言うと、最初に出した事業計画書は「もう少しプラスになるように書き直してください」と返却されました。この記事では、公庫フォーマットの全項目の書き方と、私が実際に通すまでにやったことを、テンプレの入手先も含めて正直にお伝えします。

事業計画書(創業計画書)とは|なぜ最重要書類なのか
事業計画書は、「この店は続けられて、借りたお金を返せます」ということを数字で説明する書類です。公庫の融資審査は、この計画書の具体性と実現性でほぼ決まります。逆に言えば、ここを丁寧に作れるかどうかが、開業の最初の関門です。
公庫の創業計画書、8つの項目
公庫の「創業計画書」は、次の8項目でできています。まず全体像を押さえましょう。
- 創業の動機……なぜ開業するか。精神論でなく、これまでの具体的な準備とセットで
- 経営者の略歴(職歴)……調理・接客・店舗管理などの経験。ここが返済能力の裏付けになる
- 取扱商品・サービス……誰に・何を・どう出すか。メニュー、客単価、競合との違い
- 取引先・取引関係……仕入先、想定する客層
- 従業員……雇用予定(家族従業員も含む)
- 借入の状況……今ある借入
- 必要な資金と調達方法……設備資金+運転資金を見積もりで積み上げ、自己資金+融資で調達
- 事業の見通し(収支計画)……売上・原価・経費・利益。算出根拠の計算式が一番大事
用紙は日本政策金融公庫の公式サイトで、Excel・PDFのテンプレートと飲食業の記入例が無料で手に入ります。まずはこれを土台にするのが確実です。
【本題】売上はこう積み上げる|根拠のある数字の作り方

審査で一番見られるのが、8番目の「事業の見通し」。ここで楽観的な数字を並べると一発でアウトです。売上は、こう積み上げます。
1日の売上 = 客単価 × 席数 × 満席率 × 回転数
1ヶ月の売上 = 1日の売上 × 営業日数
精度を上げるコツは、ランチとディナー、平日と土日を分けて計算して合算すること。「なぜその回転数か」を周辺の人通りや競合の様子で説明できると、計画に根拠が宿ります。各数値の一般的な目安はこちら。
| 項目 | 一般的な目安 |
|---|---|
| 満席率(客席稼働率) | 60〜70%(常に満席は非現実的) |
| 原価率(料理) | 30%が目安 |
| 人件費 | 売上の30%以内 |
| 家賃 | 売上の10%以内 |
| 水道光熱費 | 売上の5%以内 |
| 利益 | 売上の10%前後 |
※業態で大きく変わります。低単価・大量回転の店と、高単価・高原価の店ではまったく違う設計になります。
収支計画のリアル|うちは原価率49%です
ここで正直な話を。目安では原価率30%ですが、うちは今49%あります。家族経営で人件費が低く、店も小さくて家賃が安いので、その分を食材にかけているからです。
つまり、計画書の数字は「目安の暗記」ではなく、自分の店の構造で組むもの。原価率が高いなら人件費・家賃をどこまで抑えるか、利益が残る形になっているか——ここを一貫した数字で示せると、計画はぐっと強くなります。→ 原価率49%でも成り立つ理由
【一次体験】「もう少しプラスに書き直して」と返された話
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
私が最初に出した計画書は、正直な数字で、控えめに書きました。すると公庫から「もう少しプラスになるように書き直してください」と返却されたんです。
これは「嘘を書け」という意味ではありません。赤字続きの計画では、そもそもお金を貸せないということ。「現実的な努力をした上で、ちゃんと返済できる利益が出る計画」を示す必要がある、ということでした。
テンプレ記事はたいてい「楽観的すぎる計画はダメ」と書きます。それは本当。でも実際は、悲観的すぎてもダメ。返済原資(利益)が見える、ギリギリ現実的なプラスの計画——この絶妙なラインを作るのが、計画書づくりの本当の難しさです。

正直、この収支計画や資金繰りの設計は、素人がひとりでやるには難しい部分です。私は数字が得意ではないので、税理士に相談して数字の裏付けを一緒に作りました。融資の通りやすさが段違いに変わります。ツテがなければ、無料で複数の税理士を比較できる紹介サービスから始めるのが近道です。→ 個人飲食店の税理士費用と探し方
750万円が通るまで|自己資金と面談
計画書と並んで見られるのが自己資金です。目安は総額の約3割。通帳で証拠を示せるお金だけが有効で、いわゆる”見せ金”は通用しません。飲食業は修行中の賃金が低く、自己資金を貯めるのは本当に大変。だからこそ、修行を始めた段階から少しずつ積み上げる習慣が要ります。
面談では、計画の中身を自分の言葉で説明できるかを見られます。私の場合、10年の現場経験が「この人なら続けられそう」という信頼につながったと感じています。経歴は、最強の裏付けです。
よくある失敗5つ+もう1つ
- ① 売上予測が楽観的すぎる(「常に満席」前提)
- ② 数字の根拠がない(なぜその回転数か説明できない)
- ③ 運転資金を過小評価している
- ④ 「頑張ります」など精神論ばかり
- ⑤ ターゲットが「誰でも歓迎」で広すぎる
- +⑥ 悲観的すぎて利益が出ない計画(私が返却された理由。返せる計画になっているか)
テンプレと記入のコツ
テンプレは、自作するより公庫公式のもの(Excel/PDF)と飲食業の記入例を使うのが確実です(公庫公式サイトで無料)。Excelなら何度も書き直せます。売上は、この穴埋めで根拠を作ってみてください。
1日の売上 = 客単価【 】円 × 席数【 】席 × 満席率【 】% × 回転【 】回
→ × 営業日数【 】日 = 月の売上【 】円
必要な資金(内外装・厨房・備品)の実額は別記事で公開しています。→ 飲食店の開業初期費用。開業全体の流れは 飲食店を開業したい人へ をどうぞ。
まとめ|数字は「根拠 × 等身大」で
事業計画書のコツは、背伸びでも卑下でもなく、根拠のある等身大の数字で「ちゃんと返せます」を示すこと。私は最初、控えめに書いて返却されました。でも、自分の店の構造に合った現実的な計画に直したら、750万円が通りました。
難しければ、数字のプロを頼っていい。最初の関門を越えれば、その先には自分の店があります。
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筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。
……と、偉そうに書いてしまいましたが、私自身もこうして記事を書きながら、あらためて勉強している身です。一緒に学んでいけたら嬉しいです。


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