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飲食店を始めるとき、開業資金の中でいちばん大きな塊になりやすいのが「内装費」です。日本政策金融公庫の調べでは、飲食店の開業費用は平均で約880万円、そのうち内外装工事が約4割を占めるというデータもあります。つまり、ここをどう抑えるかで、開業のハードルは大きく変わります。
私自身、10年前に店を始めたとき、内装にはずいぶん頭を悩ませました。今日は「どうやって内装費を抑えたか」を、数字の自慢ではなく、当時の私の“判断”を中心に正直に書きます。結論から言うと、いちばん効いたのは「見栄を捨てて、実を取ったこと」でした。

内装の「相場」は、あてにしすぎない
調べると、店舗内装の坪単価は「40〜80万円が相場」とよく書かれています。スケルトン(何もない状態)から作るなら坪80万、居抜きでも坪40万、といった具合です。
でも、面白いデータがあります。実際に開業したオーナーへのあるアンケートでは、かかった内装費は「坪20万円未満」がいちばん多かったという結果が出ています。相場として語られる金額と、現場で実際に払っている金額には、けっこうな開きがあるんです。
なぜこんなに差が出るのか。理由はシンプルで、「どこにお金をかけ、どこを削るか」を自分で決めているかどうかだと思います。業者にまるっとお任せすれば、相場どおり(あるいはそれ以上)になります。逆に、判断を自分で握れば、ぐっと抑えられる。私がやったのは、後者でした。
私が内装費を抑えた3つの判断
① 図面を、自分で描いた
まず、店の間取りの図面を自分で描きました。プロが引くようなきれいな図面ではありません。「ここが厨房、ここにカウンター、客席はこのくらい」——それが伝わる程度の手描きです。
これには2つの効果がありました。ひとつは、設計料(内装費の1〜2割が相場)を浮かせられたこと。もうひとつは、保健所への事前相談にもそのまま使えたこと。自分の店の動線を、いちばん分かっているのは自分です。まず自分で描いてみる。これだけで、話がずいぶん具体的に、そして安くなります。
② 知っている職人さんに、直接頼んだ
もうひとつ大きかったのが、知り合いの大工さんに直接お願いできたことです。大きな内装会社に頼むと、どうしても間に何社か入って、そのぶんマージンが乗ります。直接お願いできる職人さんがいれば、その中間コストが省けます。
ただ、これは正直に言うと「たまたま伝手があった」だけで、誰にでもできることではありません。もし同じように直接頼める人が身近にいるなら、相談してみる価値は大いにあります。伝手がない方への現実的な代替案は、記事の最後に書きます。
③ 「見た目」より「実」を選んだ
これが、いちばん自分らしい判断だったかもしれません。飲食店の内装って、こだわり出すとキリがないんです。たとえばカウンター。一枚板の立派なカウンターに憧れる気持ちはありました。でも、それが料理の味を良くするわけでも、お客さんの満足を決めるわけでもない。私はそう考えて、見た目の豪華さを追いませんでした。
お金をかけるべきは、毎日使う厨房まわりと、衛生に関わるところ。逆に、見栄えのための装飾は思い切って削る。「実を取る」と決めてから、削れるところがはっきり見えてきました。小さな店の強みは、身の丈で作れることです。

でも、素人が絶対に手を出してはいけないところ
「自分でやれば安い」と書きましたが、なんでも自分でやればいい、という話ではありません。ここは強く言っておきたいところです。
電気・ガス・給排水の工事は、絶対に資格を持ったプロに任せてください。これらは素人がいじると、火事や事故に直結します。しかも、こういう設備工事は「開けてみたら想定より大がかりだった」ということが本当に多い。ガスの容量が足りずに引き込み工事で数十万、電気の容量アップ、排水の配管移設——見積もりの段階では見えなかった費用が、あとから乗ってくるんです。
DIYで削っていいのは、塗装や簡単な棚づくりくらいまで。命と衛生に関わる部分でケチると、結局いちばん高くつきます。ここだけは、私も一切妥協しませんでした。
伝手がない人は、まず「相場を知る」ことから
ここまで読んで、「知り合いの大工なんていないよ」と思った方も多いと思います。正直、私も伝手がなければ同じことはできませんでした。
では、伝手がない人はどうすればいいか。私がおすすめするのは、いきなり1社に頼まず、まず複数の業者から見積もりを取って「適正な相場」を掴むことです。相場を知らないまま1社の言い値で契約すると、追加工事や割高な項目に気づけません。逆に、何社かの見積もりを並べれば、「この項目、この店だけ高いな」「ここは抜けてるな」が見えてきます。
「適正な相場」を知ってから、内装を頼む
私は知り合いの大工さんに頼めましたが、伝手がない方は、複数の施工業者から無料で一括見積もりを取れるサービスもあります。1社だけの言い値で決める前に相場を掴んでおくと、追加工事や割高な見積もりを見抜けます。
👉 店舗内装を無料で一括見積もりまとめ:内装は「判断」で安くなる
内装費は、相場どおりに払うものではなく、自分の判断で決められるものです。図面を自分で描いてみる。頼める職人さんがいれば直接お願いする。見栄を張らず、実を取る。そして、命と衛生に関わる工事だけは絶対にプロに任せる。
私は特別なことはしていません。ただ、「ここにお金をかけ、ここは削る」を自分で決めただけです。これから店を作る方が、相場という言葉に飲まれず、自分の店にちょうどいい形を見つけられたら嬉しいです。
……と、えらそうに書きましたが、私も当時は手探りでした。図面を描いては消し、大工さんに笑われながら、なんとか形にした10年前を、今でも覚えています。
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筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。このブログでは、教科書には載っていない現場のリアルを、飾らず正直に発信しています。成功法則より、現場のリアルを。→ 詳しいプロフィールと「書くときの約束」はこちら


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