個人飲食店が安定するまでの話|最初の3年のリアル

店舗運営

開業する前、「安定したら楽になる」と思っていた。休みもいつでも取れると思っていた。好きな時に休んで、好きな時に働く。自分の店を持つということは、そういうことだと思っていた。

現実は全然違った。

でも今になって思う。安定って、何だろう。

現金に余裕があれば安心する。少なくなってくると不安になる。結局それだけのことで、「安定した」と感じた瞬間なんて、一度もないかもしれない。 <h2>最初の1年は赤字だった</h2>

開業してすぐ、できることは全部やった。

チラシを撒いて、Facebookで発信した。でも今振り返ると、一番効いたのはランチだったかもしれない。入りにくいお店だから、まず味を知ってもらう。それだけのことだったけど、これが一番シンプルで正しい方法だった気がしている。

それでもお客さんはなかなか来なかった。

1年が経つ頃、通帳を見て気づいた。このペースではあと1ヶ月持つかどうか。

怖かった。何が、というより全部が怖かった。お店を閉めること。積み上げてきたものがゼロになること。そして、「無理だ」と言ってきた人たちを見返せないまま終わること。

その頃、体にも出た。ストレスに自分がこんなに弱いとは思っていなかった。

出張料理が、店を救ってくれた

開業当初からやっていたことがある。出張料理だ。

修行していた頃、年に一度だけ老人ホームで料理を作る機会があった。その時、普段全然食べない方がたくさん食べて「美味しい」と言ってくれた。その瞬間が忘れられなくて、自分でもやりたいと思っていた。

お店の売上が厳しい時期も、出張料理の仕事が入ると助かった。お金だけじゃなく、誰かに必要とされている感覚が、続ける力をくれた。

ランチに来てくれたお客さんが夜に来てくれることもあったし、出張料理につながることもあった。出張料理を頼む前に、まずランチで味を確かめてから決める方も結構いた。手頃な価格で気軽に来てもらうことが、実は一番大事な営業になっていたのかもしれない。

今でも出張料理は、店を支えてくれている。

今でも、安定したとは思っていない

あれから時間が経って、現金にも少し余裕が出てきた。でも安定したな、と思ったことは一度もない。

今でも年に一度は暇な月がある。その度に少し不安になる。

多分これは、ずっと続くと思う。

でも最近はそれでいいと思っている。不安があるから真剣になれる。個人店をやるということは、そういうことなんだと思う。

無理だと言った人たちを、見返せたかどうかはわからない。でも今日も店を開けている。それだけでいい気がしている。

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