売上が落ちる時期は、毎年あります。連休明けとか、世の中がざわついている時とか。正直、本当にそれが原因かどうかはわからないことも多い。都合よくそのせいにしているだけかもしれません。

地方都市で、家族経営の小さな店を10年以上やってきました。売上が落ちる波は何度もくぐってきています。この記事では、売上が下がったときに「まず何を見て、何をすべきか」を、教科書的なフレームと、私自身の正直な実体験の両方でお伝えします。
まず結論|売上が落ちても、最初にやるのは「値下げ」でも「広告」でもない
先に結論から。売上が下がったとき、焦って値下げしたり、慌てて広告にお金を使うのは、たいてい逆効果です。やるべきはまず「なぜ落ちたのか」を正しく見ること。原因を取り違えたまま手を打つのが、一番危ない。

売上が下がった原因を「3つ」に分解する
売上は、ざっくりこの式で決まります。
売上 = 客数 × 客単価 × 来店頻度
売上が下がったときは、このどれが落ちたのかを切り分けるのが先です。
- 客数が減った?(新規が来ない/常連が離れた)
- 客単価が下がった?(一人あたりの注文が減った)
- 来店頻度が落ちた?(常連の足が遠のいた)
「なんとなく暇」で済ませず、どれが原因かを見極める。これだけで打つ手が変わります。
「数字を見ずに手を打つ」のが一番危ない
正直に言うと、私は数字が得意ではありません。だからこそ、月次の数字は税理士に見てもらっています。客数が減ったのか単価が下がったのか、感覚では意外とわからない。プロと数字を見て初めて「あ、ここか」と気づけたことが何度もありました。数字が苦手な人ほど、ここは人に頼った方がいいです。→ 個人飲食店の税理士費用/原価率のリアル
外部要因と内部要因を切り分ける
原因は「外」と「内」に分けると整理できます。
外部要因(立地・競合・景気・物価・天候)は、自分では変えられません。実際、今は物価高で、ある調査では飲食店の9割以上が仕入れ価格の上昇に直面しているとされます。うちも原価率が49%まで上がりました。こうした構造的な逆風は、嘆いても始まりません。
だから注目すべきは内部要因。掃除や接客(QSC)が落ちていないか、常連が離れていないか、メニューや価格が今のお客様に合っているか。変えられるところに集中するのが鉄則です。
【原因別】売上が落ちたときの対策
客数が減った → 新規より「離れた常連を戻す」が先
新規集客はお金も時間もかかります。まず効くのは、一度来てくれた人にもう一度来てもらうこと。ただし——SNSは普段からやっていないと、急にやっても効果は薄い。見てくれる人がそもそもいないからです。いざという時の受け皿として、日頃からコツコツが大事だと痛感しました。→ 集客でやって効いたこと・効かなかったこと
客単価が下がった → 安売りせず「価値」で上げる
客単価は、値下げの逆です。安くするのではなく、満足してもらって自然に単価が上がる工夫をする。それと、地味ですが大きいのが決済の取りこぼし。「カードは使えますか?」で帰られると、単価の高いお客様ほど逃しやすい。キャッシュレスに対応してから、その取りこぼしが減りました。→ Airペイの手数料を実額公開
コストが重い → 原価を見直す(でも質は落とさない)
売上を上げられないなら、出ていくお金を見直す。私が売上の落ちた時にまずやるのも、これ(仕入れを抑える)です。ただし質を落とすような節約はしません。食材費+人件費(FL比率)で全体を見て、削れる無駄を探します。→ 原価率49%でも利益を残す話
私が「やってはいけない」と思うこと
売上が落ちた時にやってはいけないことが、二つあります。
一つは、焦って値下げすること。安くすれば来てくれるかもしれないけど、それで来たお客さんが定着するとは限らない。値段を下げるのは簡単ですが、戻すのは大変です。
もう一つは、無駄な広告費をかけること。焦った状態でお金を使っても、たいてい効果は出ません。冷静な判断ができない時ほど、お金を動かすのは危ないです。
気持ちの持ち方|「こんな時もあるさ」と現金の余裕
気持ちの乗り越え方は、これだけです。考えすぎない。「こんな時もあるさ」と思う。それだけで意外となんとかなります。
現金に余裕があると、気持ちがずいぶん楽になります。逆に、現金に余裕がない状態で売上が落ちると、気持ちも追い詰められていく。だから普段から現金を残しておくことが大事だと感じています。
そして暇な時期は、次への準備期間だと前向きに考えるようにしています。普段はできない掃除をしたり、新しいメニューを考えたり。忙しい時にはできないことが、暇な時期だからこそできる。準備の時間だと思えば、少し気が楽になります。
売上が落ちる時期は、必ず終わる
個人店を続けていると、波があることがわかってきます。落ちる時期があれば、上がる時期もある。毎年繰り返していると「あ、またこの時期か」と思えるようになる。最初の頃は怖かったけど、今は少し慣れました。
考えすぎず、仕入れを抑えて、淡々と続ける。次への準備をする。それが個人店の売上が落ちた時の、自分なりの答えです。
ただ、これは10年以上続けてきたからこそ言えること。開業したばかりの頃は話が違います。売上が落ちたら、コストをかけすぎないようにしながら、できることを全部試してから待つ。「慌てずに休む」は、ある程度基盤ができてからの話です。
それでも下がり続けるなら|早めに数字のプロへ
毎年の「波」ではなく、ずっと下がり続けているなら、それは波ではなく構造の問題かもしれません。資金に余裕があるうちに、数字のプロ(税理士)に相談する方が、谷底まで落ちてからより、ずっと立て直しやすい。早めの相談が、いちばんの保険です。→ 個人飲食店の税理士費用と探し方
売上の波と上手に付き合うには、まず数字を正確に把握すること。私は税理士に任せて本業に集中してきました。
👉 個人飲食店の税理士費用筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。→ 詳しいプロフィールと「書くときの約束」はこちら
……と、偉そうに書いてしまいましたが、私自身もこうして記事を書きながら、あらためて勉強している身です。一緒に学んでいけたら嬉しいです。


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