個人飲食店の値段設定|安くしすぎた失敗と、価格の決め方を10年の店主が解説

経営・お金

開業当初、値段を少し安くしました。一人でも多く来てほしいという気持ちから。家賃も人件費もかからない分、その分を価格に反映させようと思ったんです。でも今振り返ると、少し安すぎたかもしれません。

メニュー表を前に値段を考える店主のイラスト

地方都市で家族経営の小さな店を10年以上やってきて、値付けの難しさを何度も感じてきました。この記事では、価格の決め方の基本と、安くしすぎて学んだこと・値上げのリアルを、教科書と実体験の両方でお伝えします。

値段の決め方の基本|まずは「原価率」から逆算する

価格設定の出発点は、原価率からの逆算です。

売価 = 原価 ÷ 原価率

たとえば原価300円の料理を原価率30%で出すなら、売価は1,000円。一般に飲食店の原価率は「30%前後」が目安とされます。ただし、これは店全体の平均で目指す数字であって、1品ごとに一律30%にするのは失敗のもと。原価の安いドリンクで利益を取り、原価の高い看板料理は少し原価率を上げる——というように、メニュー全体のバランスで考えます。

もう一つ大事なのが、原価(Food)+人件費(Labor)のFL比率を売上の50〜60%以内に収めること。家賃は売上の10%、利益は10〜15%が一つの目安です。価格は「原価」だけでなく、人件費・家賃・利益まで乗せて初めて成り立ちます。→ 原価率の詳しい話はこちら

価格に乗せる4つのコストの図解

でも、「原価率30%」を鵜呑みにしないで

ここで正直に言うと、うちの原価率は今、49%あります。物価高で食材が上がったこともありますが、もともと家族経営で人件費が低く、店も小さくて家賃が安い。その分を食材にかけているからです。

「30%が目安」を鵜呑みにして、自分の店の固定費構造を見ずに価格を決めると、合わなくなります。大事なのは数字の暗記ではなく、自分の店のコスト構造に合った価格を見つけること。→ 原価率49%でも成り立つ理由

一番危険なのは「安すぎる値付け」

値付けで一番こわいのは、高すぎることより安すぎることです。

私自身、開業当初に安くしすぎました。「家賃も人件費も低いから」と価格を抑えたのですが、振り返ると、取りすぎを恐れていただけだった。安いと、たとえ満席でも利益が残らない——「売上が多い=儲かる」ではないんです。

値段を決めるときは、原価だけでなく人件費・家賃、そして自分自身の人件費まで乗せること。自分のただ働きで成り立つ価格は、長続きしません。

他店と比べて気づいた|相場を知る

自分の値段設定が安すぎたと気づいたのは、他のお店の価格と品質を知った時でした。

「他店のこの品質でこの値段か」と思いました。人件費や家賃がかかっている分そうなるのかとも思いましたが、自分の店はもう少し取っていいのかもしれないと感じました。比べるまで気づかないものです。自分の中だけで値段を決めていると、相場からズレていても気づきにくい。

値上げは、お客さんが受け入れてくれた

値段を上げた時、お客さんの反応を心配していました。でも、意外とすんなり受け入れてくれました。「うちが安いのはわかってたから、しょうがないね」という感じで。お客さんも薄々気づいていたんですよね。

値上げを怖いと思っていたけど、ちゃんとした理由があれば伝わる。そのことを実感しました。値上げの具体的な伝え方は、別記事で詳しく書いています。→ 飲食店の値上げ、どう伝えるか

値段は「自分がどうありたいか」の表明

値段設定で一番大事なのは、自分がどうありたいかを決めることだと思っています。

値付けによって高級店かどうかが決まり、来てくれるお客さんの層も変わります。私は高級店で修行しましたが、接待が多く気疲れすることもありました。それもあって、今の形態にしました。質は落としていません。でも高級店ではない。その分、儲けは少ないかもしれない。でも楽しくやれています。

値段は単なる数字じゃなくて、どんなお店でいたいかの表明だと思っています。

値段を下げるのは簡単、上げるのは勇気がいる

値段を下げることは誰でもできます。でも上げるのは、思っている以上に勇気がいります。だからこそ、最初の値段設定が大事です。安くしすぎると、後から修正するのが難しくなる。安さだけで来るお客さんが増えても、長続きしないこともあります。

自分がどうありたいかを決めてから、値段を決める。その順番が大事だと思っています。

数字が苦手なら、プロと一緒に決める

正直、原価・人件費・家賃・利益をすべて見ながら適正価格を出すのは、ひとりだと難しい。私は数字が得意ではないので、このあたりは税理士に相談してきました。価格や利益の設計を一緒に見てもらえると、ぐっと楽になります。→ 個人飲食店の税理士費用と探し方

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値付けは原価率とセットで考えると失敗しません。

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筆者プロフィール

ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営のスタイルで営業を続けています。数字が得意なわけでも、敏腕経営者でもない。運とある程度の経験で、なんとかここまでやってきた感じです。このブログでは、そんな私が独断と偏見で、飾らずに正直に話します。成功法則より、現場のリアルを。→ 詳しいプロフィールと「書くときの約束」はこちら

……と、偉そうに書いてしまいましたが、私自身もこうして記事を書きながら、あらためて勉強している身です。一緒に学んでいけたら嬉しいです。

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