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「食料品の消費税、1%になるんでしょ。じゃあここも安くなるの?」
カウンターのお客さんに、そう聞かれました。笑って「うちは外食なので、たぶん関係ないんですよ」と返したものの、正直そのときは自分でもよく分かっていませんでした。
その日の夜、気になって調べました。そうしたら、全然ありがたくなかった。それどころか、うちが納める消費税は増えるかもしれない。
地方で小さな個人飲食店を10年以上やっている店主です。結論から書きます。この減税、外食をやっている店にとっては恩恵がないどころか、納める消費税が増える可能性があります。
しかも、対応するなら期限は年内。あと3か月ちょっとしかありません。
何が起きるのか、ざっくり言うと
スーパーで弁当を買えば1%。うちの店で同じものを食べれば10%。外食は減税の対象外だからです。
それだけなら「お客さんが少し外食を控えるかもな」という話で終わります。問題はその先で、仕入で払う消費税が8%から1%に下がることで、納税額のほうが増えてしまうという理屈があるんです。
「仕入が安くなるのに納税が増える?」と思いますよね。私も最初はまったく意味が分かりませんでした。この記事の半分くらいは、その説明に使います。
先に全体像だけ置いておきます。
- 外食は10%のまま。減税の対象外
- 食材の仕入は8%→1%。差し引ける消費税が減る
- 結果、原則どおりの計算をしている店は納税額が増える
- 簡易課税を選んでいる店は影響を受けない。有利・不利がひっくり返る
- 個人店の届出期限は2026年12月31日
- ただし法律はまだ通っていない
最後の一行が地味に大事なので、そこから書きます。
まだ決まっていません。ここを曖昧にしている記事が多い
ニュースの見出しを見ると、もう確定したように感じます。実際は違いました。2026年9月11日の時点で、こういう状況です。
| 時期 | 何があったか | 状態 |
|---|---|---|
| 2026年7月30日 | 首相が食料品の税率引き下げの方針を表明 | 方針 |
| 2026年8月5日 | 政府が基本方針を閣議決定(2027年4月から2年間) | 決定 |
| 2026年9月上旬 | 与党の税制調査会で、事業者向けの特例を検討中 | 議論中 |
| これから | 税制改正大綱 → 秋の臨時国会に法案 → 可決で確定 | 未成立 |
つまり「政府はやると決めたが、法律としてはまだ」という段階。対象品目の細かい線引きも、事業者向けの救済措置も、これから詰まります。
なので、この先に書く数字も仕組みも、あくまで現時点の案にもとづくものです。ここをぼかしたまま断定している記事が多いので、先に書いておきます。
それでも今から知っておく意味があるのは、動くための期限のほうが先に来るからです。法案が通るのを待っていると、間に合わなくなる。この話は後半でします。
今わかっている中身
- 2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間
- 今8%の軽減税率が入っている飲食料品が1%に
- 外食と酒類は10%のまま。新聞は8%据え置きの見込み
- 結果として、1%・8%・10%の3つの税率が同時に走る
この「3つの税率」が、現場ではいちばん厄介です。
お客さんから見た風景
1,000円の食事なら、店内で食べると1,100円。持ち帰りの弁当なら1,010円。差は90円です。
90円で来店をやめる方ばかりではないと思います。うちに来てくださる方は、そういう理由で来ているわけではない、とも思いたい。
ただ、今まで店内と持ち帰りの差は2ポイントでした。それが9ポイントに広がります。この数字を見たときは、さすがに「うーん」となりました。弁当や惣菜と並べて比べられる機会は、確実に増えるでしょう。
もうひとつ、勘違いしやすい話があります。「1%分は給付で実質ゼロになる」というニュースです。あれは中低所得の勤労者に配るという話で、店に入ってくるお金ではありません。事業者にとっての税率は、あくまで1%です。ここを取り違えると計算が狂います。
本題。なぜ納める消費税が増えるのか
消費税の計算は、原則としてこうです。
納める消費税 = お客さんから預かった消費税 − 仕入や経費で払った消費税
ここに今回の変更を当てはめます。
売上のほうは、店内飲食なら10%のまま。1円も変わりません。一方で食材の仕入で払う消費税は8%から1%へ。つまり差し引ける金額だけが小さくなります。
預かる額は同じ、引ける額は減る。だから納税額が増える。それだけの話でした。
仕入の消費税は、もともと自分の懐から出ているお金ではありません。預かった分から差し引くための数字です。だから「安くなった」のではなく「差し引けなくなった」が正しい。
ここが腑に落ちるまで、私は三回くらい読み直しました。
例えば年商1,000万円の店で計算すると
一般論だと実感が湧かないので、数字を入れて計算してみます。前に公開したうちの原価率49%を使い、年商1,000万円(税抜)、店内飲食のみ、食材はすべて8%で仕入れている、という単純なモデルにしました。インボイス登録済み・原則どおりの計算をしている前提です。金額は店の規模で変わるので、あくまで計算の型として見てください。
| 項目 | 今(2026年) | 2027年4月以降 |
|---|---|---|
| 売上にかかる消費税(1,000万円×10%) | 100万円 | 100万円 |
| 食材の仕入で払った分(490万円) | ▲39.2万円(8%) | ▲4.9万円(1%) |
| その他の経費で払った分(200万円×10%) | ▲20万円 | ▲20万円 |
| 納める消費税 | 40.8万円 | 75.1万円 |
年間で約34万円の増加。売上も客数も原価率も、何ひとつ変わっていないのにです。
自分の店だといくらになるかは、だいたいこの式で出せます。
差し引けなくなる金額 = 食材の仕入額(税抜)× 7%
8%が1%になる、その差の7%が引けなくなるからです。売上が大きい店ほど、原価率が高い店ほど効きます。原価率40%の店と、うちのような49%の店で並べてみます。
| 年商(税抜) | 原価率40%の場合 | 原価率49%の場合 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 約28万円 | 約34万円 |
| 1,500万円 | 約42万円 | 約52万円 |
| 2,000万円 | 約56万円 | 約69万円 |
同じ年商でも、原価率が9ポイント違うだけで年10万円以上変わります。原価率を下げる努力が、こんなところにも効いてくるとは思っていませんでした。
ひとつ補足があります。この計算は「食材をすべて8%で仕入れている」という単純なモデルです。酒類は軽減税率の対象外で、今も10%、1%になった後も10%のまま。つまり酒の仕入分は、今回の影響をまったく受けません。仮に仕入の2割が酒なら、増える額はその分だけ小さくなります。自分の店がどうなるかは、仕入のうちどれだけが飲食料品かで変わります。
もっと大きい店だと、もっと効きます。税理士事務所の試算では、年商4,000万円クラスで年112万円という例も出ていました。
年に数十万円。小さな店にとって、黙って飲み込める額ではありません。
財布に効いてくるのは、その翌年から
うちは消費税のぶんを毎月別に取り分けています。売上には預かった消費税が混ざっていて、使ってしまうと後で必ず困るからです。それでも先日の納付では、まとまった額が一度に出ていきました。あの通帳の減り方を見ていると、年に数十万円の上積みが「経費を少し締めれば何とかなる」類の話でないことは、すぐ分かります。
それと、見落としやすい点がもうひとつ。
消費税は、前年の消費税額(地方消費税を除いた国税部分)が48万円を超えると、中間納付が始まります。年の途中で先に納める仕組みです。
ということは、納税額が増えれば翌年の中間納付も増える。増えた分は前倒しで出ていきます。今まで中間納付が無かった店が、48万円のラインを越えて新しく対象になることもありえます。
年34万円なら、月あたり約2.8万円。取り分ける額を、その分だけ増やしておかないと詰まります。納税は利益から払うものではなく、預かっているお金を返すもの。この感覚がないと、増えた分がそのまま資金繰りの穴になります。
ただし、店のタイプで話が正反対になります
ここを一緒くたにしている説明をよく見かけるので、分けます。
店内飲食が中心(うちはここ)
売上は10%のまま、仕入だけ1%。差し引ける額が減って納税は増える。いちばん割を食う形です。
テイクアウトや物販が中心
持ち帰りの売上は1%になります。今度は預かるほうが激減する。それなのに家賃や光熱費には10%がかかり続けるので、「預かった額より払った額のほうが多い」という逆転が起きます。つまり還付、納めるのではなく戻ってくる可能性がある。
ただし手放しでは喜べません。還付は申告のあとにしか戻らないからです。経費の10%は毎月出ていくのに、戻りは先。資金繰りとしては一度きつくなる、と複数の税理士事務所が指摘しています。2027年4月以降は全国で還付申告が一斉に増えるので、入金までの時間も読みにくくなりそうです。
出張料理・ケータリング
うちもやっているので調べました。ケータリング、つまり相手先に出向いて調理や給仕をするものは軽減税率の対象外で10%。単なる配達や宅配とは扱いが違います。自分の営業形態がどちらに当たるかは、税理士に一度確認したほうがいい部分です。私も聞くつもりでいます。
じゃあ簡易課税に変えればいいのか
そこで出てくるのが簡易課税です。
実際の仕入を集計せず、売上から決まった割合を差し引いたものとみなして計算する方式。飲食店は原則として第4種で、みなし仕入率は60%。つまり預かった消費税の40%を納める計算になります。
さっきのモデルで並べてみます。
| 原則どおりの計算 | 簡易課税(第4種) | |
|---|---|---|
| 今(2026年) | 40.8万円 | 40万円 |
| 2027年4月以降 | 75.1万円 | 40万円 |
今はほぼ互角。改正後は簡易課税のほうが35万円ほど有利になります。実際の仕入で計算しない方式なので、食材が1%になろうが納税額が動かないからです。
これが「有利・不利が反転する」と言われている中身でした。
ただ、飛びつく前に
気になる点が三つあります。
ひとつ、簡易課税は原則2年間やめられません。「来年だけ試す」ができない。
ふたつ、設備投資を予定している年は逆に損をします。厨房機器を入れ替えたり内装をいじったりする年は、原則どおりの計算なら大きく差し引けるからです。うちも冷蔵庫がそろそろ危ないので、ここは他人事ではありません。
みっつ、これがいちばん大きいのですが、事業者向けの特例が今まさに議論されています。与党の税制調査会で、課税方式の移行や簡易課税の扱いについて検討が進んでいる最中です。つまり「簡易課税に切り替えるべき」という結論そのものが、これからの決定でひっくり返る可能性がある。
なので私は「今すぐ切り替えましょう」とは書きません。材料が揃っていないからです。でも期限のほうは待ってくれない。だから「知っておいて、12月に判断できる状態にしておく」。それが現実的なところだと思っています。
もうひとつ、見落としがちな選択肢があります
ここまで原則どおりの計算と簡易課税の二択で書いてきましたが、インボイスをきっかけに課税事業者になった個人店には、三つめの道があります。私はこれを今回調べるまで知りませんでした。
2割特例です。預かった消費税の2割を納めればいい、という負担軽減の措置。免税事業者からインボイス登録した人が対象で、実際に使っている個人店は多いはずです。
これがちょうど今、節目に来ています。
- 個人事業主の場合、2割特例は2026年分が最後
- そのあと、令和8年度の税制改正で3割特例が設けられました。2027年分・2028年分は預かった消費税の3割
- 3割特例は個人事業者だけ。法人にはこの延長がありません
- 対象は、インボイス登録をきっかけに課税事業者になった人で、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合とされています
大事なのは、2割特例も3割特例も売上から計算する方式だということ。だから簡易課税と同じで、食材が1%になっても納税額は動きません。
割合を並べると、こうなります。
| 方式 | 預かった消費税のうち納める割合 | さっきのモデルなら |
|---|---|---|
| 2割特例(2026年分まで) | 20% | 20万円 |
| 3割特例(2027・2028年分/個人のみ) | 30% | 30万円 |
| 簡易課税(第4種) | 40% | 40万円 |
| 原則どおりの計算 | —— | 75.1万円 |
3割特例が使える個人店なら、簡易課税に切り替えるより有利です。「食料品1%だから簡易課税へ」という話だけで動くと、もっと得な道を見落とすことになります。
しかも3割特例は事前の届出が要らないとされています。確定申告書に付記する形。2年縛りもない。自分がこの特例の対象かどうかを確かめるほうが、簡易課税の届出を考えるより先です。
正直に書くと、私は税理士に任せきりで、自分の店が2割特例を使っているのかどうかも把握していませんでした。情けない話ですが、そこから確認します。
どれが得かは、店ごとに答えが違います
原価率、テイクアウトの比率、設備投資の予定。この三つで答えが変わるので、自分の店の数字を入れて計算しないと結論が出ません。顧問税理士がいる方は、この秋のうちに相談してみてください。いない方や「今の税理士に消費税の話をしたことがない」という方は、無料で複数の事務所を比較できる紹介サービスから始めると、費用感まで見比べられます。相談だけなら無料です。
お金の話だけじゃない。現場の手間もあります
ここまで納税の話をしてきましたが、正直、私が「面倒だな」と思ったのは別のところでした。
レジです。
店内飲食10%、持ち帰り1%、ビール10%。これが一枚のレシートに混ざります。今は8%と10%の二つですが、そこに1%が加わる。うちのレジはもう10年選手なので、対応できるのかどうか。来月にはメーカーに聞いてみるつもりです。
調べたら、事業者向けの解説記事では2027年1月までには設定を終えて動かしておくべきと書かれていました。切り替え当日にバタバタしないように、ということでしょう。三か月前倒し。言われてみればその通りです。
ほかにも、細かいのがぞろぞろ出てきます。
- 値札・メニュー・POPの税込価格を全部直す。店内と持ち帰りで分けて表示する
- 価格を下げるのか据え置くのか決めて、据え置くなら理由を書いて告知する
- 請求書や会計ソフトの税率設定を変える。旧税率と新税率が混ざる期間の管理方法も決めておく
- スタッフに「外食」と「持ち帰り」の線引きを説明する。ここを間違えると会計が狂う
- 仕入先と、税率変更後の価格をどうするか話しておく
家族経営の小さな店でこれを全部やるのかと思うと、正直うんざりします。でもやらないと、四月から毎日レジで困ることになる。
いつまでに何をするか
| 期限 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 2026年12月31日 | 簡易課税制度選択届出書の提出(2027年分から適用する場合) | 個人事業主 |
| 2026年12月31日 | 簡易課税をやめる場合の選択不適用届出書 | 個人事業主 |
| 2026年中 | レジが1%に対応できるか確認。価格を下げるか据え置くか決める | 全員 |
| 2027年1〜3月 | レジ設定の変更、価格表示の更新、スタッフへの周知 | 全員 |
| 2027年3月17日ごろ | インボイス登録申請(4月1日を登録希望日とする場合) | 新たに登録する人 |
| 2027年4月1日 | 適用開始 | 全員 |
個人店に効いてくるのは、いちばん上です。確定申告の期限ではありません。年内、12月31日。ここを逃すと2027年分は原則どおりの計算のまま突入します。
そして冒頭の話に戻ります。法案が通るのは秋の臨時国会。届出の期限は年末。内容が固まってから考え始めると、判断する時間がほとんど残りません。
で、うちはどうするか
白状すると、私は消費税の申告を税理士に丸投げしています。自分の店がどの方式で申告しているのかも、すぐには答えられませんでした。会計ソフトに挫折して丸投げを選んだ人間なので、まあそういうことです。
でも今回調べて、これは任せきりではまずい話だと思いました。
理由は二つあります。ひとつは金額。年34万円は、気づかないうちに消えていい額ではない。
もうひとつは、判断が要る話だからです。記帳も申告も任せられます。でも「簡易課税に切り替えるか」は、来年の設備投資をどうするか、テイクアウトを増やすかどうかという、店の方針とセットの判断でした。税理士さんは材料を出してくれますが、決めるのは私です。
やることは三つに絞りました。
- 今の申告が原則どおりなのか簡易課税なのか、2割特例を使っているのか、税理士に聞く
- うちの数字で試算してもらう。冷蔵庫の更新予定も一緒に伝える
- レジが1%に対応できるか、メーカーに確認する
任せることと、知らないままでいることは違う。今回それがよく分かりました。
まとめ
- 食料品1%に、外食の恩恵はない。原則どおりの計算をしている店はむしろ納税が増える
- うちのモデルで年34万円増。売上も客数も変わらないのに
- 店内飲食中心かテイクアウト中心かで、結果は正反対になる
- 簡易課税で影響を避けられる可能性がある。ただし2年縛りと設備投資に注意
- その前に3割特例が使えないか確認する。個人店なら簡易課税より有利で、届出も要らない
- 納税が増えれば翌年の中間納付も増える。取り分ける額を先に見直しておく
- レジと価格表示の準備は2027年1月までに
- 個人店の届出期限は2026年12月31日
- そして、制度自体がまだ確定していない
今日ひとつだけやるなら、顧問税理士にメールを一本。「うちは原則どおりの計算ですか、簡易課税ですか。2割特例は使っていますか」。これだけです。
それが分からないと、何も判断できません。私もこれから送ります。
相談できる税理士がいない方へ
顧問がいない、あるいは今の税理士に消費税の相談をしたことがないという方は、この秋のうちに一度見てもらうことをおすすめします。無料で複数の事務所を比較できる紹介サービスです。私自身は知人の紹介で今の税理士にお願いしているので紹介サービスは使っていませんが、ツテがない場合の探し方としては現実的だと思います。どちらも問い合わせは無料です。
消費税まわりは、ほかにもまとめています。
- 個人飲食店のインボイス、登録すべき?「関係ない」で済む店・済まない店の分かれ目
- 個人飲食店の確定申告|白色・青色・経費の考え方
- 個人飲食店の税理士費用|年商別のリアルな相場と選び方
- 飲食店の税務調査、小さな店にも来るの?10年来ていない店主の備え
- 原価率49%の店の中身、全部見せる
- 個人飲食店の開業から経営まで完全ガイド(全記事まとめ)
よくある質問
Q. 結局いつから変わるんですか?
A. 2027年4月1日からの予定です。2029年3月31日までの2年間とされています。ただし2026年9月時点で法案はまだ成立しておらず、秋の臨時国会での可決を待つ段階です。
Q. うちは店内飲食だけ。何が変わりますか?
A. お客さんに請求する消費税は10%のまま変わりません。変わるのは仕入のほうで、食材が8%から1%に下がります。原則どおりの計算をしている場合、差し引ける額が減るぶん納税額が増えます。
Q. 仕入が安くなるなら得なのでは?
A. 仕入で払う消費税は、もともと預かった分から差し引くための金額です。支払いは減りますが、差し引ける額も同じだけ減るので、手元に残るお金が増えるわけではありません。
Q. 「給付で実質ゼロ」と聞きましたが、店にも入りますか?
A. 入りません。あれは中低所得の勤労者に配るという話で、事業者向けではありません。店にとっての税率は1%のままです。
Q. テイクアウトもやっています。どうなりますか?
A. 持ち帰りの売上は1%になります。店内10%・持ち帰り1%・酒類10%が混在するので、レジ設定と区分経理の見直しが必要です。テイクアウト比率が高い店は還付になる可能性もありますが、還付は申告後にしか戻らないので資金繰りには注意が要ります。
Q. 簡易課税に変えたほうがいいですか?
A. 店内飲食中心なら有利になる可能性は高いですが、一律には言えません。原則2年間変更できませんし、設備投資を予定している年は不利になります。事業者向けの特例も議論中なので、結論は変わりえます。自分の店の数字で試算してから決めてください。
Q. いつまでに何をすればいいですか?
A. 個人事業主が2027年分から簡易課税にするなら、2026年12月31日までに届出書の提出が必要です。まずは今どの方式で申告しているかを確認するところからです。
Q. 納税が増えると、ほかに影響はありますか?
A. 翌年の中間納付が増えます。前年の消費税額(国税部分)が48万円を超えると年の途中で先に納める仕組みがあるためです。今まで対象でなかった店が新たに対象になることもあります。
Q. 客足は減りますか?
A. 分かりません。ただ店内と持ち帰りの税率差が2ポイントから9ポイントに広がるので、比べられる機会は増えると考えたほうがいいと思います。
筆者プロフィール
ある地方都市で小さな個人飲食店を営む店主。開業から10年以上、家族経営で続けています。数字が苦手で会計ソフトに挫折し、税理士に丸投げする道を選んだ人間です。今回の件は「丸投げしていても知らないと困ること」の典型だと感じたので、夜な夜な調べました。→ 詳しいプロフィール
※本記事は2026年9月11日時点の情報にもとづいています。食料品の消費税率1%への引き下げは2026年8月5日に政府が基本方針を閣議決定した段階で、本記事の執筆時点では関連法案は成立していません。対象品目の細目、事業者向けの経過措置、簡易課税の取扱いなどは今後の税制改正大綱および国会審議で変更される可能性があります。記事中の試算は前提を単純化したモデルであり、実際の税額は店ごとの条件で異なります。個別の判断は必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。本記事は筆者個人の見解であり、税務上の助言ではありません。

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